緑内障
緑内障とは
緑内障・・・“あおそこひ”とも言われています。
40歳以上の方の30人に1人は緑内障と言われており、早期発見・早期治療が必要な病気です。眼圧は正常で、自覚症状がなくても、緑内障は進行していることもあります。40歳を過ぎたら、一度眼科で検査を受けましょう。
主な緑内障の種類と発症例
正常眼圧緑内障
眼圧は正常範囲内であっても視野が狭くなっている(視神経が障害されているもの)をいいます。視神経の強さには個人差があって、眼圧がいくら正常範囲内でも緑内障と同じように視神経が障害されていることがあります。やはり40歳を過ぎると自覚症状がなくても、一度眼科で検査を受けられた方がよいでしょう。
狭隅角緑内障
Aさん(48歳)の場合
「ある日の夜、急に気分が悪くなって吐き気がした。普段は何ともなかった右眼が何となく重く感じてきた。そのうち頭が痛くなり、しばらくして目も痛くなって、かすむようになった。苦しい一夜を過ごし、翌朝、鏡を見ると目が赤く、右眼はほとんど見えなくなっていた。」
これは典型的な急性緑内障発作の起こり方です。一晩我慢して、気分が悪いため、内科を回り、眼科にたどり着くというケースが多いようです。この発作の場合、突然眼圧が上昇し、早期治療をしないと、眼圧が下がった後も視力が元に戻らないことが多く、ひどい場合には失明に至ることもあります。
開放隅角緑内障
Bさん(40歳)の場合
「40歳のBさん、眼科は小学2年生の時に結膜炎でかかって以来、受診したことがない。会社の検診でも視力は特に問題なかった。しかし、たまたまアレルギー性の結膜炎になり、眼科を受診。その時眼圧を測定したところ、眼圧は右眼が26mmHg、左眼24mmHgと正常範囲(21mmHg以下)を超えていた。さらに視野検査をしてみると右眼の鼻側に見えない部分があった。」
これは開放隅角緑内障でよくあるケースです。本人の自覚がないまま眼圧が高くなっていて、視野(見える範囲)が障害されて、気がついた時には視野は感度が落ち、かなり狭くなっていることもあります。
緑内障自己診断 家庭でできる視野異常の診断 TVノイズ
方法
- TVノイズによる視野検査法は、家庭にあるテレビで放送されていない チャンネルに現れる、白と黒の点滅した模様(放送終了後のザーザーした画面)を利用します。テレビのアンテナを外した方が均質な画面になります)。
- 画面中央にシールなどで直径5mm程度の小さな印になるような点を貼り付けます。
- 片眼で(もう片眼は隠して)3~5秒間じっとその点だけを見ます。目はきょろきょろさせてはいけません。もう片眼も同じように行います。左右の比較もできます。
- 21インチテレビの場合では約30cm離れた距離からですと、画角は上下が26.5° 左右が29.5°となり、一般の視野検査の範囲(30°)とほぼ一致します。
診断
画面の点滅模様が一様に見えないところ、例えば暗く見えたり、雲や水がかかって見えたり、まわりと違った部分、均等でない部分がないかどうか調べます。
緑内障の検査
- 当院の眼圧測定の方法open
通常は目に空気をあてて測定するノンコンタクト法で測定します。他にアプラネーション法、トノペン法でも測定します。
ノンコンタクト法
一瞬で測定でき点眼麻酔の必要もありません
アプラネーション法
ゴールドマン圧平眼圧計 点眼麻酔をして行います。
最も正確な検査方法ですトノペン法
点眼麻酔をして行います。
ペン先を軽く目に4回あて測定し、 坐位でも仰臥位でも測定できます
- 視野検査の方法open
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主に下記の4つの精密視野検査を行っています。その他診察時に簡便に行える対座法もあります。
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動的視野検査(Goldmann視野検査)
視野全体の変化を把握しやすい検査方法です
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FDT
短時間で簡単に行え、緑内障のごく早期の発見に有益です
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静的視野検査(ハンフリー)
動的視野検査より感度が高く、初期障害を検出できます
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動的視野検査 (投影式カンビメーター)
簡便に中心視野が計れ、中心暗点の検出が容易です
他にも共焦点レーザー走査型顕微鏡法の技術を眼底の画像形成とその3次元トポグラフィー計測に応用した装置で、視神経乳頭の定量的な表現を可能にした、HRT(Heidelberg Retina Tomograph)も緑内障の精度の高い診断・評価に用いられます。
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緑内障の治療
点眼剤、内服薬
点眼薬で眼圧効果が十分でない場合には内服薬を併用します。どちらも人によっては副作用がでる場合があります。また治療薬は症状の進行を抑えるために使用します。
手術
レーザー治療と観血的治療:眼内の水の流れをよくする種々の手術や眼内の水を外に漏らす手術があります。手術の方法はその人の緑内障の種類・進行具合・年齢などによって異なります。
緑内障で気をつけること
- 暗い場所や、長時間の酷使など、目を使いすぎないこと
- 自分の目に正しくあわせた眼鏡を装用すること
- 水分のとりすぎは眼圧の上昇につながるので、とりすぎに注意すること
- 長時間のうつぶせ姿勢をとらないこと
眼圧は正常で、自覚症状がなくても、緑内障は進行していることもあります。40歳を過ぎたら、一度眼科で検査を受けましょう。緑内障では、眼底検査・視野検査が重要です。
TOPICS
眼圧について
高眼圧症
たとえ眼圧が21mmHg以上でも視野は正常な(視神経が障害されていない)場合、緑内障ではなく高眼圧症と診断されます。
眼圧日差
眼圧は1日の中で普通の人でも4~5mmHgは変動します。普通、午前中に最高になり、深夜や早朝に最低となります。逆に午前は低く、午後から上昇する人もいます。緑内障の場合、ある時間の眼圧が低くても日内変動が大きくなっているので、1日中、数時間おきに眼圧を調べる必要があります。眼圧は日によっても変動します(日々変動) 。
緑内障の診断に大切な検査です。